「あっ!」

持ちきれそうになかったりんごは、やっぱり転がっていって。

「待って!ちょっとまってぇー!」

周りから変な目で見られていることには気づいていたけど、りんごのが大事だ。

りんごをかかえてひたすら走る。


…りんごのために。

そのときの私はやっぱり周りを見ていなくて

「あぶねーよ‼︎」

手を引かれて、うしろに倒れる。

何が起きたんだと驚いていれば、横にトラックが通り過ぎていって。

「え…」