「最上階か。じゃあ眺めがいいだろう?」 「でも私の部屋からはそこの三十二階建ての棟が邪魔して空が半分しか見えない」 「へぇー、こっちは三十二階建てか」 家の前でそんな話をしていると、不意に後ろから呼ばれた。 「凛!」 振り向くと学校から帰って来たのであろう兄が、鞄と重そうな荷物を抱えて立っていた。 「ああ、兄」 私がそう言うと、慌てて真澄が畏まって言った。