母もやや驚いてはいたが、兄のびっくりした顔と比べれば大したことはない。 「どうしたの?また勉強を見てくれるとかいう話でもあるの?」 ママが期待のこもった口調で訊いて来た。 兄は黙ったまま真顔でじっと私を見ている。 「そうじゃないみたい。ただ謝られただけ。それでワッフルと飲み物を奢ってもらった」 「なーんだ、そうなの」 ママは、優哉がまた家庭教師をしてくれることを期待したのだろう。 がっかりしたように言った。