「辻くんには悪いけど、内緒にしておいて欲しい…です」
ずっと黙って聞いてくれていた辻くんに、ぺこりと頭を下げる。
「…月森ちゃんは、本当に知賀のことが好きなんだね」
沈みかけてる夕日に照らされた辻くんが、優しく微笑んだ。
「う、うん…僭越ながら」
「ははっ、なにそれ。月森ちゃんはじゅーぶん知賀とお似合いだよ」
お世話に決まっているのに、辻くんのいつもとは違う雰囲気に飲まれてつい真に受けそうになる。
「ごめんね、変なこと聞いて」
苦笑しながら言う辻くん。
たしかに…どうして急にそんなことを?
「ううん…でも、なんで?」
思った疑問をそのままぶつけると、辻くんは若干言いにくそうに頭をかいた。
「…ただの俺のお節介、かな。実は俺と知賀、幼なじみなんだよね」



