聞き捨てならない言葉が聞こえて首を捻る。



これは、ただ気づいていないだけなの…?



それとも、気づいた上でスルーされてる?



どちらなのかわからず、ただ困惑する私。



「そういえば、俺に用事があったんだよな?」



知賀くんはそんな私に気がつきもせず話を進めた。



「あ、えーっと……」



そういえば、本来の目的を忘れてた…!



たしか私は、知賀くんによる今朝の思わせぶりな発言の真相を確かめに来たのだ。



色々あって忘れてたけど、これを聞くのには相当の覚悟というものが必要。



そう易々と聞けるものではない。



「わ、忘れちゃったみたい…だから、また今度聞くね?」



「あぁ…よくあるよな」



ほんとにごめんなさい知賀くん…。



私、普段はこんなに嘘つきじゃないんです。