『わたしはそんな風に、同情できない。
 相手の気持ちになりましょう。
 なんて無理に決まってるでしょ?
 私にはできない。
 慰めることも、同情することも。』

なんて強い意見なんだろう、と思った。

『でも、話は聞ける。側にいれる。』

僕は思っていなかった。
彼女の次の言葉が僕の感情を大きく揺さぶることになるなんて。

『静かでしょ、世界って。』

「っ…。う、あぁ。うあああ…ああああっ」

彼女はどうしてこんな言葉をくれるんだ。

涙は、頬を伝って腕に落ちる。大粒の涙が。

『君の泣き声だけが、私の心に響いて、
 声を綴る音を、私が書く。
 そんな世界で充分。
 望んじゃいけない。静かでいい。』

ああ。泣けた。久しぶりだった。
泣くこと自体。

僕、まだ泣けたんだ。