静かな世界

のりでくっつけていた紙をはがすと、ビリビリと悲惨な状態になってしまった。

読んで、と字をさして伝えられる。

「ん?えっと、勇矢、明璃、友達…?
 優しい言葉、ありがとう?」

そして裏にはこう、書いてあった。

『どんなに世界がボロボロになっても、
 私と君は2人の世界の中』

     と。

ああ。

こんなにボロボロでも、ここは安全なんだ。

言葉をくれた明璃は立ち上がって扉の前まで行った。

そして立ち止まると、背を向けたまま言った。

「静か、だね。私たちの世界」

声で言葉を残した明璃が図書室から出ていくと、セミの声がうるさかった。



「ありがとう、明璃」