「大丈夫。俺にりんが必要だから」



 なんて優しい言い方。

 春日さんがこう言うのは、わたしが守られるだけの女だから。

 守られてばかりじゃ、だめなんだ。


 ──持っている武器は、上手く、惜しまず、使うべき。

 ルカさんの言葉を反芻する。



「……春日さん、ひとつ、お願いがあるんです」



 まだ一人では決断するには、未熟だけれど。

 わたしが春日さんも守れる立場になれたら……。



「なに?」

「許可がほしいです。わたしが、自由に超能力を使っていいという許可を……」

「それが今のりんに必要なの?」

「……そうです」

「ふうん」



 今までの最大人数は約一万人。モニター越しでも通用してきた。

 信奉者を募り、わたしに信仰を集める『神子』の役割。今思えばあれも、汚い仕事だったのだろう。

 人に従わせたいことを声に乗せるだけ。

 意味もわからず、先生達のために利用していた能力を、



「好きに使えばいいんじゃない? りんが持ってる能力なんだから」



 ──自分のために使ってみたい。