美月さんから「生吹くんに会いたいって人がいるんだけど」と言われたら、春風生吹は必ず私と会ってくれる。

だってネットで、



――彼女のためなら何でもする



って書いてあったもんね。

私は春風生吹に会いたい。

そして伝えるんだ。嵐太の事を。



「嵐太の事を知って、そのままってのも後味悪いもん…。嵐太が勝手に【月光】を名乗ってるって、ちゃんと伝えなきゃ」




今日は土曜日。

病院はお見舞い人の出入りがあるばかりで、閑散としていた。

だから、もし美月さんが通ってもすぐ分かるはずって…。

そう思ってたんだけど…。



「そうそう上手くはいかないか…って、あれ?」



目と鼻の先に、長い髪の女性の姿。

この前も、その人の後ろ姿を見たから、見間違うはずない。

あの後ろ姿は…美月さんだ!



「(やった!会えた!
すっごいラッキー!)」



背の高い女の人と一緒に歩いている。

美月さんの友達かな?

後ろ姿だけでも、二人の美人オーラが漂ってる。

こっそり近づくと、だんだん二人の会話が聞こえて来た。



「にしても、どうして入院なんて事になったんですか?純弥先輩」