アーケード街を歩きながら、たくさんのお店へ目をやる。

可愛い服はもちろん、メンズの服やアクセサリー、下着屋さんや食べ物の移動販売車まで…。

お洒落なお店が一列に並んでいるのを見ると、それだけでワクワクするから不思議。



「どこに入る?迷うね」

「端から順番に入ってく?」

「時間が足りないよ~」



私の前で、幸せそうな顔をして歩くカップル。



「(キラキラしてるなぁ…)」



楽しそうな会話。
嬉しそうな表情。

それらは、いつか見た春風さんと同じものだった。



「(あの春風さんの雰囲気が柔らかく見えたくらいだから…。彼氏彼女って、やっぱり楽しいものなんだろうなぁ)」



いいなぁと思ったのもつかの間。

私の頭の中には、ある予想が浮かんでいた。



「(ひょっとして今日の蒼羽の用事って…デート?)」