危険「だけ」じゃなかった。


私を助けるため、たった一人で広場に来てくれたり、

優利のいる病院に連れて行ってくれたり、

最強と呼ばれる春風さんから私を守ってくれたり。



蒼羽の「危険だけじゃない」色んな面を…私は知ってしまった。



「(お願い蒼羽…良い人にならないで)」



あなたは、危険なままでいて。


私の復讐が鈍らないように――



「明里?」



再び黙った私を、蒼羽は頭を倒して見た。

頬に流れた私の涙を拭いながら。



「ねえ、蒼羽…」

「なに?」



「今だけ、悪者になって」

「俺が?」

「うん。蒼羽は…私にとって悪い人」



心の中で「何言ってるんだろう」って思った。

きっと蒼羽も「頭大丈夫?」って茶化すだろうって、

そう思っていたのに…



「いいよ」