『ちょっとあゆ,バカな男子にチョロそうとか言われてるけど……大丈夫?』



ー友達の,葉月 桃枝(はづき ももえ)の一言に,私は巻き直そうとしていたハチマキをパサリと落とした。




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チョロそうチョロそうチョロそう!!

産まれてこの方,そんな事は初めて言われた。

あまりに受け入れがたい事態に,私はひっくり返した蛇口から出る水に顔面を当てる。

いや,私の耳に入らなかっただけで,ずっとそう呼ばれていたのかもしれないけれど。

もちろん,人がいいなんて意味ではない。

恋愛的に,チョロそうと。

簡単に落ちそうだと言われていたのだろう。

もーちゃんがわざわざ伝えてくるなら,きっとそうなんだ。

バサッとポニーテールを揺らして,私は顔を上げた。



「つめ……たい」



皆川 あゆ。

残念ながらこれは,どうやら現実の様である。