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打って変わって場所は焼肉屋。この店を予約した目の前の相棒は俺を置いてけぼりにしてウキウキと飲み物と肉の注文を済ませ、トングを握っていた。

ああ俺を慰めてくれるのか、こいつ意外といい所あるじゃねぇか、いや元々いいやつなのは知っていたけど。

一見冷たそうに見えるが誰よりも周りに気を配っているんだよな、とそう少し照れくさい気持ちになったが、やつは次の一言で俺のそんな気持ちを打ち砕いた。

『それじゃ!アンチコメおめでとう〜!有名税にカンパーイ!!!!』

「へっ?」

人間は戸惑いすぎるとリアルにへっ、という間抜けな声が出るのだと知った。

目の前の人間は俺のグラスに勝手にグラスをぶつけもう飲んでいる。それから肉を取り焼き始めた。

『これもういいから食えよ』そう更に投げ出される様に適当に盛られたサラダと生に近い気がする肉。有難く受け取るというほど今の心に余裕はなかった。

「……どういうこと?お前も有名税でアンチ受け入れるタイプだったん?まぁ活動歴長いし慣れもあるのか?」

眉をひそめて聞いた俺に、少し難しそうな顔をする。
これが言い回しを考えている時の顔だと言うのはまだ短い付き合いだが知っていた。無遠慮に見えて意外と言葉を選ぶやつなのだ。

『アンチの発生っていうのは、自分のことを知っているのはファンだけっていう現状から少しでも多くの人に知って貰えたっていうステップに変わった際に起こる現象だと思っている節はある。』

「ああそれで有名税ね」

『あくまでも幼稚とかアホらしいものならばの話だけどな。あまりにも度が過ぎるアンチはブロックとか、出るとこ出るのが最良法だと思ってるよ。
エゴサする時に違うアカウントでやった時にも出てこないように全てのアカウントでブロックする。これが一番大事。』

「まぁそうよな」