「素晴らしい出来栄えだ。王妃にこんな特技があったとは・・・ぜひ使わせてもらうよ、ありがとう。」
ユリウスが素直に礼を述べると、ジゼルは頬を染めてうつむく。
「ところで、貴女は自分のモチーフは決めたのか?」
「それがまだ、考えているところです。モノにはいろいろと意味がありますから、じっくり考えて決めようと思います。」
「それが良いいだろう。このモチーフは公式のものではないし、使用に登録が必要なわけでもない。」

ユリウスと自然と会話できていることに、ジゼル自身、ちょっと驚いていた。
初対面の時から怖い人だとは思っていなかったが、なんとなく近寄りがたい印象があったのだ。
(普段は黒い軍服を着ていて、軍人のような雰囲気があるから近寄りがたいと思ったのかしら。こうしてリラックスされているときの陛下は気さくなお方だわ。)
結婚初夜の妻の務めを王妃教育の一環であれこれ聞かされていたジゼルだったが、
思いのほか穏やかな時間が流れていることに居心地の良さを感じていた。

しばらくすると、ユリウスが立ち上がった。
「今日は王妃も朝から緊張しっぱなしで疲れただろう。そろそろ休もう。」
そう言ってそそくさとベットに横になる。
慌ててユリウスに着いて行ったジゼルはユリウスとは反対側のベッドサイドから横になった。