ベルナール国王に前妻がいたというのは初耳だった。
王位継承者であれば結婚相手を他国にもお披露目するが、
結婚当時はまだ第2王子だったのであればそこまで大体的にしなくても無理はない。
「そうか、辛い記憶を思い出させてしまって申し訳なかった。」
「いえ、大丈夫です。それからフォンテーヌ公のことですが、血縁上は親戚なのでしょうが今までほとんど交流がなかったので、他人行儀になってしまったのです。陛下に疑念を抱かせてしまい申し訳ございません。」
「こちらこそ疑ってすまなかった。ただあなたが素直に話してくれたので、謎が解けたよ。ありがとう。」
ユリウスの表情が柔らかくなったのでジゼルはホッとした。
今なら渡せるかも、と直感で思ったジゼルはユリウスに白いハンカチを差し出す。
「これは?」
「私、手芸が趣味でして・・・そのことを侍女に話したら、ぜひ陛下に何かプレゼントしてみてはと言われまして。陛下のモチーフはサラマンダーとお聞きしましたので、ハンカチに刺繍してみました。いかがでしょう?」
ユリウスは差し出されたハンカチを受け取り、刺繍に目をやる。
(見事だ。)
ユリウスは素直にそう思った。サラマンダーは発火している龍なので、刺繍で表現するのが難しいらしい。
それでよく乳母から愚痴を言われていた。
(陛下はなんで王太子様にこんな難しいモチーフを選んだのでしょう。刺繍に時間がかかります!)
乳母が亡くなった今では城に仕える侍女たちがやっているらしいが、
彼女たちの刺繍よりもずっと上手いばかりか、デザインもユリウス好みだった。
王位継承者であれば結婚相手を他国にもお披露目するが、
結婚当時はまだ第2王子だったのであればそこまで大体的にしなくても無理はない。
「そうか、辛い記憶を思い出させてしまって申し訳なかった。」
「いえ、大丈夫です。それからフォンテーヌ公のことですが、血縁上は親戚なのでしょうが今までほとんど交流がなかったので、他人行儀になってしまったのです。陛下に疑念を抱かせてしまい申し訳ございません。」
「こちらこそ疑ってすまなかった。ただあなたが素直に話してくれたので、謎が解けたよ。ありがとう。」
ユリウスの表情が柔らかくなったのでジゼルはホッとした。
今なら渡せるかも、と直感で思ったジゼルはユリウスに白いハンカチを差し出す。
「これは?」
「私、手芸が趣味でして・・・そのことを侍女に話したら、ぜひ陛下に何かプレゼントしてみてはと言われまして。陛下のモチーフはサラマンダーとお聞きしましたので、ハンカチに刺繍してみました。いかがでしょう?」
ユリウスは差し出されたハンカチを受け取り、刺繍に目をやる。
(見事だ。)
ユリウスは素直にそう思った。サラマンダーは発火している龍なので、刺繍で表現するのが難しいらしい。
それでよく乳母から愚痴を言われていた。
(陛下はなんで王太子様にこんな難しいモチーフを選んだのでしょう。刺繍に時間がかかります!)
乳母が亡くなった今では城に仕える侍女たちがやっているらしいが、
彼女たちの刺繍よりもずっと上手いばかりか、デザインもユリウス好みだった。



