ユリウスが立ち上がって部屋を出て行こうとするので、
ルイーザも慌てて立ち上がる。
ユリウスの背に自分の胸を押し当てるように抱き着くと
甘えた声で囁く。

「陛下、もう夜も遅いですし今夜はこちらでお休みくださいませ。ベッドも広いですから、陛下と私2人でもゆっくりお休みいただけます。ねぇ、いいでしょう?」
ユリウスははりついたような笑みを浮かべてルイーザの腕を外すと手の甲に口づける。
「あなたのような魅力的なレディに誘っていただき大変光栄ですが、明日も早いのでこれで失礼しなければなりません。明日の晩餐会はあなたもどうぞお楽しみくださいね。良い夜を。」
そう言うやいなやクルっと背を向けて、足早に去って行った。

ルイーザは一人呆然と立ち尽くす。
(私が想像していたのと全然違うじゃない。)
誘いをにべもなく拒否された恥ずかしさと、王妃への態度にくぎを刺された屈辱で
肩をわなわなと震わせ、ベッドに突っ伏した。
(ギーゼラ、絶対許さないわよ!)