「それでお話ってなんですの?」
ルイーザがウルウルした瞳でユリウスに尋ねる。

「お父上からも話があったと思うが、明日、ユーフォルビアの王女を正式に王妃に迎える。」
「あぁ、そのことですか。父から伺っております。王妃様とのご成婚おめでとうございます。」
ルイーザは顔色一つ変えず淡々と返す。
いくらか取り乱すのではと思っていたユリウスにとっては少し意外だった。
「でも私、陛下が不憫でなりません。国王陛下であるがゆえに、こんな望まない婚姻をしなければならないなんて。」
私は貴方の味方よ、と言わんばかりのルイーザの言葉に思わず苦笑する。
(お前を側室に迎えたのも俺が望んだことではないがな。)
「国のために最善のことをするのが王の責務だ。私は納得して受け入れいている。だからあなたにも王妃のことを受け入れてほしい。」
「まぁ、陛下に言われずとも当然ですわ。王妃様がマグノリアでお寂しい思いをしないようにできるだけのことをしてあげたいと思っていますの。」
もっともらしいことを言うルイーザだったが、腹の内は違うのは明らかだった。
「王妃に何かあったら、ユーフォルビアとの外交問題にも発展する。内輪のことだけでは済まないかもしれない。くれぐれも頼むぞ。」
「お任せください、陛下。」
「あなたに話したかったことは以上だ。夜も更けて来たし、これで失礼する。美味しい葡萄酒をありがとう。」