君の愛に酔う～藤の下で出会った2人の物語～

着付けとヘアメイクが終わり、
ハンナの用意してくれた軽食を取っていると、
シュトラウスのお迎えが来た。

「ギーゼラ様、お食事中でしたか。これは失礼いたしました。国王陛下がお待ちですので、準備ができ次第参りましょう。」
国王陛下を待たせるわけにはいかないと、
ジゼルは飲みかけのオレンジジュースを一杯口にすると、
さっと立ち上がった。
「そんなに慌てずともよろしいのですよ。」
「いいえ、シュトラウス殿。お忙しい陛下を必要以上にお待たせするわけにはまいりません。さぁ、行きましょう。」

「ギーゼラ様、行ってらっしゃいませ。」
ハンナたちに見送られてジゼルは貴賓室を出る。
いよいよ夫となる人との対面だ。
（何事も始めが肝心というからしっかりしなくちゃ。）
マグノリアの王城には至る所に彫像が置かれており、
シュトラウスがそれらについて、簡単に説明してくれた。
シュトラウスの説明によると、
これらの彫像は全て実在の人物で、国に多大な貢献をしたと認められた人たちなのだそう。
自身の彫像が王城に設置されることはマグノリア王国最大の栄誉であるらしい。