君の愛に酔う~藤の下で出会った2人の物語~

「王妃様、長い一日お疲れさまでした。娘たちにも晴れがましいお役目を与えていただき、あの子たちの一生の思い出となるでしょう。」
ジゼルの夜着を整えながら、ハンナがお礼を言う。
「こちらこそ一日中つきっきりでサポートしてくれてありがとう。」
「とんでもございません。・・・さぁ、これでお仕度が整いました。陛下がお待ちですから、行ってらっしゃいませ。」
「おやすみなさい。ハンナも今日はゆっくり休んでね。」

ユリウスに案内されたジゼルの新しい部屋からは
外の廊下に出なくても寝室に行けるように部屋の内側にドアが設けられていた。
以前はユリウスとジゼルの寝室は階も区画もバラバラだったので、
以前とは大違いである。

カチャ。
ジゼルが部屋に入るとユリウスは既に部屋着姿でベット脇に腰かけている。
キングサイズ以上はあろうかというほど大きなベットだ。
ジゼルはユリウスの隣に静かに腰かける。
「ジゼ・・・」
口を開きかけたユリウスの口にジゼルは人差し指を当てて遮る。
「ユリウス様。昨日お約束しましたでしょう?私たちは夫婦になったのですから、私のことは愛称で呼んでくださいな。」
「そうだったな。ジジ、今日はありがとう。」
「こちらこそありがとうございました。ユリウス様。・・・ユリウス様が私のことを愛称で呼んでくださるのですから、私もユリウス様を愛称でお呼びした方がよろしいかしら?」