君の愛に酔う~藤の下で出会った2人の物語~

そして今、ジゼルは父のウィリアムとともに大聖堂のヴァージンロードを歩いている。
ジゼルの花嫁姿を見たウィリアムは結婚式が始まる前から大号泣。
「とても綺麗だ」「やっぱりマグノリア王国に嫁にやりたくない」と言い出して、
若干開始時間が遅れてしまった。

なんとかウィリアムをなだめた後、アリスはジゼルの頭上にティアラを被せ、ヴェールをそっと降ろす。
「行ってらっしゃい。」
そう言ってヴァージンロードへと送り出してくれた。
先ほどはあんなに走り回っていたミアとエラも
ジゼルの長いヴェールを2人で仲良く持って、まるで小さなレディのようだ。
ジゼルとウィリアムが歩く先に待っているのはもちろんユリウス。
ウィリアムから託されたジゼルの手を力強く握りしめる。

グラディオーレン大司教の進行の元、
結婚式は粛々と進み、いよいよ最後は誓いのキスだ。
ユリウスがジゼルのヴェールをそっと上にあげ、
熱のこもった目でジゼルを見つめる。
「ジゼル、私は君を愛している。」
そう言うと、ユリウスはジゼルの唇に自分の唇を重ねる。
ジゼルはうっとりと目を閉じ、幸せな気持ちに満たされてそれを受け入れた。

その後、神の祝福の元にジゼルにマグノリア王国王妃の称号が授与され、
正式にマグノリア王国 ジゼル王妃となった。
バルコニーでのキスや馬車での市街地パレード、華やかな晩餐会など
たくさんの祝福に包まれて夢のような一日が過ぎていく。
窮屈なコルセットを脱ぎ、念入りに施された化粧もすっかり落として、
あとはユリウスの待つ寝室に向かうだけだ。