君の愛に酔う~藤の下で出会った2人の物語~

この「サムシング・フォー」の習慣はまだマグノリアにはなく、
ジゼルの結婚によって、このウィステリア由来の花嫁のジンクスが初めてフューチャーされたそう。
エミリアによると、恋人がいる女の子たちは
自分が結婚するときは、どんなサムシング・フォーにするかという話で盛り上がっているらしい。
「ギーゼラ様は流行の最先端を行っていて、マグノリア中の女の子たちの憧れの的なんですよ。」
自分の故郷の習慣がマグノリアでも好意的に受け止められているのは、
ジゼルとしても嬉しいことだった。

ジゼルがエミリアにヘアメイクをしてもらっている横では、
ハンナが自分の娘たちの世話で大忙しだった。。
花冠を被った双子のミアとエラはクリっとした目をしてお人形さんのよう。
2人の衣装はジゼルのドレスのミニチュア版で、
ジゼルが自身のドレスで余った布などを使って手作りしたものだ。
まだ幼く、じっとしているのが難しいのか
ハンナの制止を振り切ってはしゃぎ回っている。
「ギーゼラ様、私の娘たちが落ち着きがなくて申し訳ございません。昨日しっかり言って聞かせたのですが。」
「良いのよ、気にしないで。子どもはこれくらい元気でなくちゃ。」