君の愛に酔う~藤の下で出会った2人の物語~

ロートシルト夫妻の次に挨拶に来てくれた青年を見て、
ジゼルは思わずハグをしそうになった。
それに気づいた青年は慌ててジゼルの両腕をつかんで
それ以上ジゼルが近づけないように距離を取る。

「賢明な判断だな、クレマン。」
それまで全く別のゲストと談笑していたユリウスは
いつの間にかこちら側に来ていて、ジゼルの肩を抱き寄せる。
「またジジが失踪したら、今度こそ僕の首が飛んでしまうので。」
(あー危なかった。ナイス判断、俺!)
挨拶に来てくれたのは幼馴染のアランだった。

「ジジ、結婚おめでとう。」
「ありがとう、アラン。あなたのことは兄弟のように思っているから、ついつい家族のようなスキンシップを取ってしまって。
ユリウス様、他意はないんです。ごめんなさい。」
ジゼルにこうして素直に謝られると、惚れた弱みか、ユリウスもそれ以上怒れなくなってしまう。
「ジゼルにとってアランが大切な幼馴染だということは理解している。だがあまりにも馴れ馴れしいのは妬けてしまうな。」
(エドウィナ様、ばあちゃん、天国から見てる?ジジはもう大丈夫。幸せになったよ。)
「ジジ、すごく愛されてるじゃないか。羨ましい~~」
「アランったら、からかわないでよ。」