君の愛に酔う～藤の下で出会った2人の物語～

「クララ！あぁ、本当にしばらくね。会いたかったわ。」
ジゼルは思わずクララを抱きしめる。
大切に思っていた人たちが、こうしてそれぞれ幸せをつかんでいるのはジゼルとしても嬉しい。
「ロートシルト殿と結婚したと聞いたわ。おめでとう。」
ロートシルトの手が自然とクララの腰に回されていて、とてもお似合いの夫婦だ。
クララの左手に輝く大きなダイヤモンドの大きさを見れば、
ロートシルトのクララへの愛情の深さが伺える。

「ギーゼラ様がこうして再びマグノリアに来てくださったこと、本当に嬉しく思います。その昔、ユーフォルビアの王女だった貴女をお迎えに行ったのが昨日のことのように思い出されますよ。」
「そういえば、私が初めて言葉を交わしたマグノリア人はロートシルト殿でした。そこにはクララもいて、ユーフォルビアからマグノリアの服へ着替えるのを手伝ってくれたわね。」
「懐かしい思い出ですわ。軍を除隊してしまったので、ギーゼラ様のお側に入れないことが残念です。ねぇ、あなた。今からでも、軍に復帰できないかしら？」
クララの問いかけに、ロートシルトは首を振る。
「大将の愛娘で少将の妻が隊に入ってきたら、どう扱っていいのかみんな困るから難しいよ。」
「あーあ、つまらない。ハンナたちはみんな侍女として復帰できているのに。」