君の愛に酔う~藤の下で出会った2人の物語~

「ユリウス様。ジジは私たちの大切な娘です。能う限りの愛で幸せにしてあげてくださいね。」
アリスの言葉にユリウスは大きく頷く。
「もちろんです。王妃様をご心配させるようなことは決していたしません。」
「私、マグノリア王国には行ったことがないの。ジジの結婚式で訪問できるのが楽しみだわ。」
「愛娘の結婚だからな。ウィステリアの威信にかけて、花嫁道具は盛大に用意させてもらうぞ。」

ウィリアムとアリスはジゼルの結婚式に大張り切りで、
どんな服装で行こうか、せっかくだからマグノリアをゆっくり観光するのもいいのでは、
などと盛り上がっている。
「あ、あのね、結婚のことなんだけど。」
それまで黙っていたジゼルが声をあげた。
「希望というか・・・結婚は大学卒業まで待ってほしいの。あと1年で卒業できるから、ちゃんと学位を取得したい。ユリウス様、良いでしょう?」
反対されたらどうしようという不安げな瞳のジゼルを安心させるためにユリウスは即答する。
「もちろん。卒業まで待つよ。ジゼルが頑張っていることを私も応援しているから、安心して。」

「ジジは毎日すごく勉強を頑張っているものね。大学で勉強したことはきっとマグノリアでも役に立つわ。それにあと1年も一緒に暮らせるなんて!」
「この1年でジジとの思い出をたくさん作らないと。エリー、また計画を立てよう。」
「そうね、あなた。」
お互いを愛称で呼びあい仲睦まじいウィリアムとアリスを見て、
自分とジゼルもこんな夫婦になりたいとユリウスは強く思うのだった。