君の愛に酔う~藤の下で出会った2人の物語~

「君はジゼルの人生に責任が持てるか?あの子の命が終わるその時まで、あの子を愛し、幸せにすると誓えるか?」
先ほどまでの笑みは聞けて、ウィリアムは真面目な顔でユリウスに問う。
「はい。この命にかけて誓います。」
「その言葉を決して忘れないように。婚約の話は朝食の席でジゼルからも聞いていた。悔しいがあの子は君を愛していて、君と一緒になることを望んでいる。あの子の望むことに私が反対することはできないよ。ジゼルを頼む。」
ウィリアムはユリウスに手を差し出し、力強く手を握った。
その手の力強さにウィリアムの思いが込められている気がした。

「せっかくだからジジも呼びましょうか。ユリウス様も会いたいでしょう。」
アリスはそう言うと側に控えていた侍従にジゼルを呼びに行くように伝える。
しばらくするとジゼルが応接間に姿を現した。
ジゼルはユリウスの姿を見つけると、一目散にその胸に飛び込む。

「なんか妬けちゃうな~やっぱりさっきの取り消そうかな。」
ユリウスにジゼルを取られたような気がして、ついついウィリアムは意地悪してしまう。
「いやよ、ウィル。男に二言はないのよ。」
「え~そういうのは時と場合によるんだよ。」
口では屁理屈を並べながら、ジゼルの幸せそうな顔を見てウィリアムは満足していた。
やはりジゼルを託せるのはこの若者以外にいないだろう。