君の愛に酔う～藤の下で出会った2人の物語～

ジゼルが自分と同じ気持ちでいてくれることを確認したユリウスは
そっとジゼルの身体を話し、膝まづく。
現在の時刻は23時55分。あと5分でマスカレードの最後の曲が始まる。
「ジゼル。私を受け入れてくれるなら、ぜひこの手を取ってほしい。最後のダンスを踊ることがマグノリアではどういう意味を持つのか、貴女も知っているはずだ。」

”最後のダンス”
未婚女性にこのダンスの相手を申し込むということは、
マグノリアでは求婚の意味を持つ。
そして女性がこの申し出を受ければ、プロポーズが成功したことを意味するのだ。

差し出されたユリウスの手に、ジゼルは迷うことなく自分の手を重ねる。
ユリウスはその手を優しく握りしめると、
ジゼルをエスコートしてダンスホールへと戻って行く。
マグノリアのような習慣がないウィステリアでは
最後のダンスであろうとなかろうと踊りたい人は踊っているので、
会場は相変わらずの熱気だ。
しかしお互いへの愛を確認しあった2人には周囲の喧騒は全く届かず、
2人だけの甘い空間に没入していくのだった。