君の愛に酔う～藤の下で出会った2人の物語～

思いもかけないユリウスの返答にジゼルの心臓はドクドクと早鐘を打つ。
（えっと、それは言葉通りに受け取っていいの？神話ではアドニスは自分が自由に過ごせる1年の1/3をペルセポネではなく、アプロディーテと過ごすことを選ぶのよ。それになぞらえて、陛下は私を望んでいると言いたいのかしら？それって都合よく解釈してるだけだったら恥ずかしい。）

ジゼルがなんと返していいか分からずモジモジしていると、
ユリウスがジゼルの両の手を握りしめる。
「ジゼル。もう一度私にチャンスをくれないだろうか。私は貴女を愛していて、これからの人生をあなたと歩みたいと思っている。」

これは夢なのではないか。
ジゼルはそう思わずにいられなかった。
ユリウスと再び結ばれることを密かに期待していたけれど、
まさかそれが本当になるなんて。
「陛下。いえ、ユリウス様。貴方が私を望んでくださるのなら、貴方に着いて行きたいと思います。」
ジゼルの返事を聞くや否や、ユリウスはジゼルの細い腰を引き寄せて力強く抱き締める。
「ありがとう、ジゼル。貴女のことは生涯大切にする。絶対に私が守る。」
ジゼルもユリウスの背中に手を回す。
なんて大きな背中だろう。
ユリウスに抱きしめられていると、これから何があっても大丈夫だという安心感で満たされていくのを感じた。
「ユリウス様のこと、心からお慕いしています。」