ロートシルトがそう告げるとどこからともなく女性騎士が現れ、
ジゼルを馬車の中に連れて行き、着替えを手伝ってくれた。

初めて身にまとったマグノリアのドレスは、
しっかりした布で作っているのか全体的に服が固く、
あまり着心地が良いとは言えない。
温暖な気候のユーフォルビアは生地もさらさらとしていて、
ゆったりしたデザインが好まれていた。

先ほど着替えを手伝ってくれた女性騎士はクララという名前で、
今後ジゼルの護衛を担当してくれるそうだ。
クララの話によれば、
ユリウス国王はジゼル専属の侍女もすでに任命し、
衣食住に関してはきちんと準備が調っているので何も心配いらないとのことだった。
夫となるユリウス国王の心遣いに触れたような気がして、
ジゼルは希望で胸がいっぱいになった。