ウィルヘルミーナは自分の欲しかったものが手に入ったと上機嫌で帰って行った。
ベルナールは憎々しげにこちらを睨んでいたが自業自得だ。勝手に破滅してくれればこちらとしても万々歳。
残るはー--ウィリアムは窓辺に佇むユリウスに声をかけた。
「もっと抵抗されると思ったけど、意外だったな。」
「ジゼルのことですか?そうですね、確かにショックでしたよ。」
「私が無効にしたのは過去のことだ。未来のことは何もしてない。ジゼルが望むことに、私は反対するつもりはないよ。」

”がんばれよ”そういう意味を込めてユリウスの肩をポンポンと叩くと、
ウィリアムも会議室を後にして、家族の元へと戻っていった。