人目に付かない側道を移動していると、
突然目の前に数人の兵士が飛び出してきた。
「ソテル、止まりなさいっ。」
「うわ、ビックリした。」
手綱を引いて、なんとか人を避けた。

飛び出してきた男性は軍服を着ていたが、マグノリアの軍服ではない。
となるとウィステリアの兵士ということか。
「レディ、大変失礼いたしました。ここはもうすぐ戦場になります。今回は見逃してあげますから、お逃げください。」
「あの、あの。ウィステリアの兵士の方でしょうか?」
「そうですが。」
「私をウィステリアまで連れて行ってくださいませんか?」

目の前の女性の申し出にジョンは目をパチクリとさせた。
(ウィステリアに亡命希望しているのか?ん、でも髪の生え際が赤いぞ。赤毛ってことはウィステリアと縁のある人なのか?)
「私の一存では決めかねますので、一度こちらにお越しください。」
お人好しのジョンはジゼルを放っておくことができず、
とりあえず上官のいる野営地に連れて行くことにした。

「おーい、ジョンお前なに女の子お持ち帰りしてんだよ。」
「緊張感無さすぎだろ。」
「違いますって、先輩たち。ウィステリアに逃げたいっていう女の子で、すっごい必死だから放っておけなくて。」
「そんなん構ってたら、キリがねーだろ。」
「でも~」