西へ、西へ。
地図を持たないジゼルは道行く人に確認しながらソテルを走らせていた。
(もうだいぶウィステリアとの国境に近づいてきたわね。)
ここ数日の逃避行でソテルとはずいぶん心を通わせられるようになった。
クララに馬の世話の仕方を教わっていたおかげだ。
季節は夏が過ぎて秋になろうとしており、夜は肌寒く感じることも増えたが、
そんなときはソテルに寄り添って眠りにつくと温かくてぐっすり眠れた。
ただ国境に近づくにつれて何だか騒がしくなっているのが気がかりだった。
荷物をまとめてどこかに移動する家族の姿もちらほら見かける。
(このあたりで何かあったのかしら?)
「娘さんよ、あなたも早く逃げなさい。」
焦った顔の老人が話しかけてくれる。
「出来るだけ国の内側に逃げるんじゃ。もうすぐ戦争が始まる。先日、ユリウス国王がウィステリアへの進攻を宣言された。」
「何ですって。」
一体何があったのだろう。
しかし戦争がはじまると分かってもやはり、
ウィステリアに行きたいという気持ちに変わらなかった。
(親切なおじいさん、ありがとう。)
ジゼルはソテルに乗って引き続き西を目指した。
地図を持たないジゼルは道行く人に確認しながらソテルを走らせていた。
(もうだいぶウィステリアとの国境に近づいてきたわね。)
ここ数日の逃避行でソテルとはずいぶん心を通わせられるようになった。
クララに馬の世話の仕方を教わっていたおかげだ。
季節は夏が過ぎて秋になろうとしており、夜は肌寒く感じることも増えたが、
そんなときはソテルに寄り添って眠りにつくと温かくてぐっすり眠れた。
ただ国境に近づくにつれて何だか騒がしくなっているのが気がかりだった。
荷物をまとめてどこかに移動する家族の姿もちらほら見かける。
(このあたりで何かあったのかしら?)
「娘さんよ、あなたも早く逃げなさい。」
焦った顔の老人が話しかけてくれる。
「出来るだけ国の内側に逃げるんじゃ。もうすぐ戦争が始まる。先日、ユリウス国王がウィステリアへの進攻を宣言された。」
「何ですって。」
一体何があったのだろう。
しかし戦争がはじまると分かってもやはり、
ウィステリアに行きたいという気持ちに変わらなかった。
(親切なおじいさん、ありがとう。)
ジゼルはソテルに乗って引き続き西を目指した。



