「王妃様は前王妃様を敵視しておりましたから、前王妃様の面影を感じさせる王女様がお嫌いなのよ。」
「王女様には何の罪も無いのにお気の毒ですわね。それはそうと、昨日夫から興味深いお話を聞きましたの！」
「まぁ、ぜひ教えてほしいわ。」

ガロワ子爵夫人は周囲をキョロキョロと見渡し、ギルマン伯爵夫人の方に顔を近づけた。
「マグノリア王国から来た縁談は、本当はデルフィーヌ様宛てだったんですって。当然と言えば当然ですわよね。対外的に知られている国王陛下のご息女は王妃様の産んだデルフィーヌ様・ドミニク様・シャルロット様の3人だけなのですもの。」
「デルフィーヌ様をマグノリアに嫁にやりたくないから、今まで存在を無視していたジゼル様に縁談を押し付けたということ？」
「そうみたいですわ。私の夫は外交官でしょう？縁談の正式なお返事をする際になぜ相手がデルフィーヌ様でないのか、ジゼル様とは誰なのか、マグノリアから質問攻めにあったんですって。」
「それは、ガロワ子爵もお疲れでしたわね。でも私も自分の子をあの野蛮人たちの国に嫁がせることを考えると、王妃様のお気持ちは分かります。」
「私も。私の可愛いヴィクトワールをあんな国に嫁がせるなんて絶対に嫌ですわ。」
「ジゼル様にはお気の毒ですけれど、これも自分の運命と納得して頑張ってもらうしかありませんわね。」