「毎日まいにち疲れますわね、ガロワ子爵夫人」
「本当にそうですわよ、ギルマン伯爵夫人。王妃様の頼みでなかったら、こんなことやってられませんわ。」
「でも私、この役目を引き受けましたのはちょっと興味があったんですの。グリシーヌの王女様がどんな方なのか。」
「まぁ、ギルマン伯爵夫人もでございましたか!あんまりにも姿を見ないので死亡説すらありましたものね。」

夫人たちが自分のことを話しているので、
ジゼルも思わず聞き耳を立ててしまう。

「でも何というか、意外でしたわ。良い意味で。王妃様の話では、教養の欠片もない庶民同然の娘ということでしたのに、実際にお会いした王女様はとても礼儀正しい方でした。こちらが教えたことはすぐに吸収されますし、裁縫に関しては何もお教えすることがないレベルです。」
「私もびっくりしてしました。歴史や言語に関しても、基本的なことはすでにマスターされていますの。どこで習ったかとお聞きしたら、乳母の夫が大学教授だとかでそのものに習ったんだそうです。」
「こんなこと王妃様には言えないけれど、王妃様のお子様たちより出来がいいのではないかしら?」
「エドウィナ前王妃のお子様の方が優秀なんて、王妃様は意地でも認めたくないでしょうね。そういえば面差しは国王陛下似ですけれど、見事な赤毛とふとした時の表情はエドウィナ前王妃様に似ていらっしゃいますね。」