「お願いします!!姉ちゃんを!!姉ちゃんを助けてください!!」

一央が泣きながら桜士に縋る。伊一も泣き出してしまいそうな顔をしながら、自身の腕を強く掴んでいた。

「俺たち、何もできなかった……。戦えなかった……。ただ、逃げることしかできなかった……。だから、姉ちゃんたちを、まだ学校の中にいるみんなを、どうか助けてください……」

伊一の瞳が潤んでいく。桜士はフッと笑みを浮かべた後、二人の頭を撫でた。

「大丈夫ですよ。四月一日先生は、自分の命も、他人の命も、決して諦めない人です。ヨハン先生も、クラウディオ先生も、強くて確かな腕を持った医師です。そう簡単に死にませんし、死なせません」

そう言い、桜士は学校の中へと迷わずに飛び込んでいく。隠し持った拳銃をホルスターから取り出し、その目は公安警察・九条桜士に変えてーーー。



校舎の中に一歩入ると、桜士はすぐに人の視線を感じた。一花やヨハン、クラウディオのものではないとすぐに察し、桜士は視線を感じた場所へ銃を向ける。