「Mr.本田、どこに行くんだい?」

「四月一日先生たちが心配ですし、まだ中に人がいるかもしれません。様子を見てきます」

「それならこれを」

「これは?」

リティクがポケットから何かを取り出す。小さな機械のようだ。その画面を見た桜士は「は?」と呟く。

画面には光が点滅している。そして、その光の上には「四月一日一花」や「ヨハン・ファジル」と名前があった。

「発信機ですか?一体どこに……」

桜士が訊ねると、リティクは自身の首元から自分の認識表を取り出す。ここに発信機が埋め込まれているようだ。

「二人は今、体育館じゃなくて校舎の方にいるみたいだね。場所はーーー」

「この場所は、理科室の辺りです!」

腕を負傷した少年ーーー栄二が叫ぶように言う。その体は震え、ウクライナ出身の内科医であるナタリア・ソーニャが「座って落ち着いて」と肩に触れる。

「あんた、あの時の……」

足音と声が聞こえ、桜士は振り返る。そこには伊一と一央がいた。二人に怪我はないようだが、その顔は恐怖に怯え、震えている。