二週間ほど前、桜士と十は公安の捜査で北海道へ行った。そこには一花たちも社員旅行に来ており、一緒にお茶をしたり、スキーをしたりしたのだが、そこで公安や世界各国の捜査機関が追っている犯罪組織Cerberusの幹部と戦うことになったのだがーーー。

組織が仕掛けた爆弾に描かれた蝶々を見て、一花は泣き出しそうな顔をしていた。ミンジュンは生きている、そう一花は何度も言い、麻酔科医のアルフレッド・ブレイディにホテルまで連れ戻されていた。

(四月一日先生のあんな顔を、見ていたくない……)

あの表情を思い出すだけで、桜士の胸がナイフに刺されたような痛みを覚える。それほどまで、自分は一花に想いを抱いているのだとまた気付かされた。

「へぇ〜、eagleはこんな制服着てるんですね」

十がスマホの画面を桜士に見せる。銃弾が飛び交う戦場で活動することが多いeagleの制服は、軍人が着ることのない白い制服である。ボタンやラインは赤が使われており、胸元には鷲の描かれたワッペンがついている。