翌日、桜士が潜入している榎本総合病院の救急科に行くと、「本当ですか!?」と中から一花とヨハンのどこか驚いた声がする。

「おはようございます。どうしたんですか?」

桜士が救急科のドアを開けると、そこにはチリ出身の外科医であるクラウディオ・エルナンデスがいた。そして、一花が「本田先生!」と嬉しそうに駆け寄ってくる。

「実は、中学校でwingのeagleについて講演をしてほしいと言われたんです!」

「それで、一花とヨハンと俺で講演をすることになったんだ」

クラウディオもどこか嬉しそうに言う。ウガンダ出身の小児外科医であるヨハンも、頰を緩ませていた。はしゃぐ一花の様子に、桜士の顔に笑みが自然と浮かぶ。

「四月一日先生、ヨハン先生、クラウディオ先生、すごいじゃないですか!講演、聞きに行きたいです!」

wingのeagleの存在は、医療従事者や戦場地では知らない人の方が珍しいくらい知名度は高い。だが、それ以外の人は存在すら知らないことが多く、都市伝説のような扱いになっている。