明日、病院で一花に会うことを楽しみにしながら、桜士は煌めくイルミネーションから離れ、家へ向かって歩き始めた。



煌めくイルミネーションや、ぼんやりと優しく輝く大通りから一歩裏路地に入ると、果てしない暗闇が広がり、どこか別世界のように思えてしまう。

そんな暗闇の中、二人の男性が立っていた。月明かりに照らされ、一人の顔がぼんやりと見えてくる。

ミルクティーブラウンふわふわとした髪に、赤い瞳が特徴的な整った顔を持つ男性は、犯罪組織・Cerberusの幹部の一人であるイエティだ。彼は、楽しそうに笑いながら言う。

「ね?ちょっと気配出しただけで気付いたでしょ?あの公安のワンちゃん」

「ああ、あれは恐ろしいな……」

もう一人の男性がフウッと息を吐く。二人は桜士がどのような人間なのか、観察をしていたのだ。

「それで?いけそう?あのワンちゃんを遠ざけつつ、今回の任務を成功させること」

「それはもちろん、策はある」

もう一人の男性は、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。