イ・ミンジュンーーー韓国ソウル出身。大学では工学部に入学したものの、途中で中退し、アメリカの医学部に入学した。医学部を卒業した後は麻酔科医となり、eagleに所属した。しかし、××年にシリアにて行方不明となり、死亡されたとなっている。

ミンジュンの情報を見た公安警察・九条桜士(くじょうおうし)はフウッと息を吐く。

「遺体はない。完全に死亡扱いするには早すぎるような気がするな」

パソコンを前に桜士はそう呟き、コーヒーを飲む。三徹目を超えたこの体は、もうコーヒーの刺激だけでは足りなくなりつつある。そんな桜士に、横から後輩の灰原十(はいばらみつる)が声をかける。

「九条さん、もう四日も寝てないじゃないですか。今日はもう帰ってくださいよ。さっきからハッキングしてるなと思ったら、捜査と全然関係ないeagleの情報見ちゃってるじゃないですか」

「うるさい。これはちょっとした息抜きだ」

そう言ったものの、息抜きとして桜士はこの情報を見ているわけではない。頭の中から四月一日一花(わたぬきいちか)の顔が離れないためである。