「傘は?」

「忘れた」

「手袋は?」

「持ってない」

「マフラーは…ないか。寒くないのかよ」

「寒いよ。見てわかるでしょ」

私は、自分の手に息を吹きかけながら隼人に言った。

「寒いなら親にクリスマスプレゼントで買ってもらえばいいじゃん」

「別に、そこまで欲しくないし」

「でも寒いんだろ?頼んだら買ってくれるんじゃね?」

「だから、別に頼んでまでほしくないし、手袋とかマフラーとか無くても困らないし、仕事忙しいママに言うほどのことじゃないし」

「でも、受験前だしやっぱり…」

「うるさいな、もうなんなのよ」