「ついに、この時が来たのね…」


ゴクリと息を呑み、空き教室の前に佇む私の名前は、八代瑛茉(えま)。


今日から、私立花ヶ崎学園のマネージャー科3年生になる女子高生だ。


え…?何をそんなに緊張してるのかって?


それを説明するには少し私の通う学園のシステムを説明しなければならないだろう――。


       ◇◇◇◇◇◇◇


私が通う私立花ヶ崎学園は、言わずと知れたアイドル・マネージャーを育成する学校。

アイドル科とマネージャー科の2つがあり、どちらの学科も毎年多くの入学希望の生徒が殺到するほど人気がある。

アイドル科では、デビューを目標に、歌やダンスを磨き、トークやファンサの対応などを学ぶ。

マネージャー科ではそんなアイドル達を支えるべく、スケジュール管理からメンタルケアまでオールマイティーに学んでいく。

元々、小さい頃からキラキラしたアイドル大好きだった私。

そんな気持ちは成長するごとに増していき、“推しを支えたい”と言う気持ちも日ごとに強くなっていった。

そんな私がこの私立花ヶ崎学園の存在を知ったのは中学生になったばかりの頃‥。