……いつもどおり学校で好きだという証拠を隠滅しよう。


恋心なんて飲み込んで胃の中で溶けてしまえばいい。


「いただきます」


ぼそっと呟いて、トリュフをつまんだそのとき。


ガラッと教室の扉が開いたかと思うと。


「―――それ俺の。とらないで」


チョコを、指ごと()まれた。


柔らかな熱が私の指先に残り、そこから全身へ広がっていく。


さも当たり前かのように私のチョコを奪っていったのは、ここに来る予定なんかなかったはずの私の幼なじみで。


「なんで、ここ……」


呆然とする私の目に、不機嫌顔が映っている。


私を探しに来てくれて嬉しい。


私を見つけてくれて嬉しい。


彼女よりも優先してくれて嬉しい。


可愛らしく笑っていた彼女はきっと今悲しんでいるのに、私はこの状況を喜んでしまっている。


彼女に勝ったと思ってしまっている。