◇ ◇ ◇
荷物を持って、走っちゃいけない廊下を駆けて、鍵の壊れている空き教室へと隠れた。
扉を閉めた途端に身体の力が抜け、床に座り込むしかなくなる。
私が帰ったってわかったら、あいつはたぶん私からのチョコを諦めるだろう。
彼女と仲良く帰って、お付き合い初日の甘い時間を過ごせるはず。
私が情けなく涙を流してるのだって誰にも見られないし、これでいい。
……これでいいんだ。
「ううっ……」
気が緩んで、嗚咽が漏れる。
せめて、もっと早く気持ちを伝えればよかった。
もっと早く勇気を出したらよかった。
後悔してるのがかっこ悪い。
自分が悪いのに泣いてるのがかっこ悪い。
悔しくて、苦しくて、情けなくて、胸が痛くて。
涙がぼろぼろと零れ、スカートに大きな染みを作る。



