俺だけのもの。とらないで




口の中で溶け始めたチョコは、クリーミーな甘さを広げていく。


美味し過ぎる。私って天才だったんだ。


やっぱりお菓子作りの仕事に向いてるかもしれない。


……なんて思っていると。


「お仕置きが必要か」


黒い笑顔で放たれた不穏な一言のあと、一瞬で私たちの隙間はゼロに。


私の口に入っていた一粒のチョコレート。


溶けかけのそれが容赦なく奪われた。


溶けた分までしっかり絡めとられて……それでもなお、熱は混じり合ったまま。


口の中が甘くて。思考が溶けて。かき乱されて。


強欲な幼なじみは、熱を秘めた視線で私を捕らえる。


「―――全部、俺だけのもの。とらないで」


チョコも、私の心も。初めても。


私のなにもかもが君に奪われ……独占される。