「好き?私を?」
「そう言ってる」
「嘘」
「俺が嘘ついたことある?」
「……ないかも」
なにより、私の鼓膜に伝わる心音が早い。
クールぶってても緊張をするのは、私を抱き締めてるから?
だとしたら、すっごく嬉しいし……くすぐったい。
「告白されるの想像しただけで嬉しかったんだけど、実際にされると想像以上だな」
そう言って斜め上から落とされたのは、見覚えのある優しい微笑み。
教室の中から見たその顔は、女の子に向けられたものと同じで。
「想像したのって、あの女の子と話してるとき?」
「正解」
女の子に向けられていると思っていた表情が、想像をとおして私に向けられていた。



