俺だけのもの。とらないで




「でも、そこが可愛いって思ってしまう。変?」

「っ……!」


"可愛い"って言われた瞬間、ドクンって。


教室中に響いたんじゃないかってくらいの心臓の音。


バカなところが可愛いなんて、ふつーに変。


そう思うけど、もったいなくて否定したくない。


(けな)されてるのに嬉しいって、私はほんとにバカだ。


なにも言い返せないでいると、私の顔を両手で挟んだまま、男の子の割に繊細な指が私の目元に触れた。


「な、なに」

「なんで泣いてたの?」


なにも言わなくても見透かされそうな、力強い瞳。


それを向けられたら……反抗する気なんてなくなってしまう。


「……あんたに彼女ができたって思ったから」

「そんなことで泣かなくていいのに」


珍しく素直に答えたら、珍しくぴしゃりと否定された。