またしても袋からひとつ取り出してぽいと口に入れると、安吾くんがひときわ大きな息を吐き出した。
「お前、ほんとお前ってやつは……なんでこうも呑気に学校なんかいってられんだよ、病院いけよ」
「安吾くん病院ついてきてくれる?」
「やだよ。地味に3ヶ年皆勤めざしてんだよ俺」
「じゃわたしも3ヶ年皆勤めざす。一緒にがんばろーね」
「お前は3ヶ年どころか今月皆勤でさえもう無理だよ」
あーもー疲れた、とそこで安吾くんが嘆いた。
「お前といるといつもこれだよ佐藤。本来の俺はな、もっとクールで何事にも動じない無口でクールな男なわけ」
「クールって2回言ったよ」
というか安吾くんをクールで何事にも動じない無口でクールな男だなんて思ったことがないし、本人が言う時点であまり信ぴょう性もない。
それでも嘘だって言い切れないのは、他学科の女子が安吾くんのことを同じように評価していたから。
その子たちはどうやら安吾くんと同じ学科で、かっこいい推せる彼氏にほしいってまるでアイドルのことを話すかのように盛り上がっていた。



