今日だってほんとうは家に引きこもってたかった。
外なんて一歩も出たくなかった。
それでも、安吾くんは学校で他の女の子からチョコをもらうんだって考えたら、気が気じゃなかったから。
──おはよう安吾くん。口からチョコ出るようになっちゃった。
──なんて?
ぽん、と頭に手がのっかる。
「お前は、昔っからそうだったよな。ネガティブで、泣き虫、気にしいで……誰よりも怖がりだった」
いつも、何時も。
わたしに体温をわけ与えてくれた。
変わらずわたしのそばにいてくれた。
「……安吾くん」
「ん?」
「もっかいキスしたいって言ったら、引く……?
さっきのも忘れたくないって言ったら……困る?」
安吾くんがビョーキなら、わたしもビョーキだ。
それもまったくおんなじビョーキ。
だけど今度は怖くなかった。
こんなに胸が張り裂けそうなくらいどきどきしてるのに、ちっとも怖くなんかない。
安吾くんがほほ笑んだ、と気づいたときにはもう、視界が暗くなっていた。
「わかりきったこと聞くなよ」
_𝐞𝐧𝐝_



