「……っ、」
がくん、腰が惚けたように沈みそうになった。
安吾くんの支えがなかったら立てないほどに、全身が蕩けてしまっている。
いつの間にか口の中のチョコレートは消えていた。
口の端のそれを舐めとった安吾くんは、最後にひとつキスを落としていった。
至近距離で見上げたその顔は、夕日のせいにできないくらい赤く染っていた。
「……俺はな、佐藤。お前といるとほんとに余裕なくなるんだよ」
「安吾くん、」
「少し離れただけで今何してんだろって頭から離れないし、お前の一挙一動が愛おしくなる。あーあの男いま佐藤のこと見てたなって思うと苦しくなるし、心が狭くなる」
そんなの、わたしだって……。
「お前と一緒ならどこに堕ちたっていいって思えるくらいには、俺の人生お前に左右されてんだよ」
なあ、と言ったあと。
安吾くんは何年か越しにわたしの名前を呼んだ。
「このビョーキ、たぶんもう半永久的に治んねーんだけど。どうしてくれんの」



