とある雨の日。
雲に覆われて空はどんより、
教室もなんだかじめじめしています。
休み時間には、いつも校庭でサッカーをしている子たちが不満そうに、今日は体育館へ向かうようです。
そんな彼らを横目に、
冒険家のごとく外へ出る勇敢なすずめちゃん。
すずめちゃん、実は晴れの日と同じくらい雨の日が好き。
地面に落ちる雫の音。
水たまりにできる雨粒の波紋。
晴れの日とは違う世界の色は、
どれもすずめちゃんをわくわくさせるのです。
けれどすぐに、
大きな傘を待った水木先生が走り寄ってきました。
水木先生は、
ずぶ濡れになりながらくるくる回って遊んでいるすずめちゃんに
少し厳しい声色で呼びかけます。
「すずめさん、傘は?」
「あるよ」
まあるい瞳をきらきらさせて、水木先生の方を向くすずめちゃん。
どうやら嘘をついているわけではなさそうです。
「だったらさしなさい。風邪をひいたらどうするの」
すずめちゃんは、首をかしげて少し考えてから言いました。
「でもね、雨ってきれいだと思うの。
濡れてもね、すぐ乾くの。
それに、くるくるしてればそんなに濡れない気がするし」
先生は呆れ顔でそれ以上何も言わず、
ただ「中に入るわよ」とだけ言って、すずめちゃんの手をひきました。
教室に入ると、びしょ濡れのすずめちゃんを見たクラスメイトたちは、
「びちょびちょじゃん!」
「バカみたい!」
とすずめちゃんを笑いものにしました。
すずめちゃんは笑われた理由がよくわかりませんでした。
雨の日は外遊びしちゃいけないのかな。
そういうルールなのかな。
先生に貸してもらったタオルで頭を拭きながら、
うーん、としばらく考えていたら、
くちゅんと小鳥みたなくしゃみが出ました。
